通勤通学用に人気のある街乗りクロスバイクと次に人気なのが街乗りマウンテンバイクです。
街乗りマウンテンバイクは、トレイルバイクのカテゴリーに含まれ、様々なマウンテンバイクのカテゴリーの中でもバランスの取れたジャンルです。
メーカーによっても基準は様々で、クロスカントリー寄りのトレイルバイクや、ダウンヒル寄りのトレイルバイクなどがあります。価格も10万円以下から100万円を超えるものもあり、用途に応じて選ぶ必要があります。
また、見た目もワイルドでカッコよく太めのタイヤを装着して走れるマウンテンバイクは、元々は山の中を走る目的で作られた乗り物です。
そこから、マウンテンバイクの種類も多く、下り専用のダウンヒルバイクや山の起伏の激しい地形を活かして登りに強いクロスカントリーバイク、競技で決められたコースを1日中周回して走る際に、長い時間でも速度を出して走れるエンデューロバイク、一番世の中に普及しているトレイルバイクというカテゴリーなどがあります。
また、マウンテンバイクとグラベルロードの似ている点があるので、分かりやすく違いを紹介します。
街乗りマウンテンバイクとグラベルロードを比較
「街乗りマウンテンバイク」と「グラベルロード」で何が違うのか下記の項目に沿って説明していきましう。
【比較項目】
- 使用目的
- ハンドル形状
- フレーム形状
- 乗車姿勢
- タイヤの太さ
- パーツ構成
- 価格
- 重量
- 巡行速度
- 遊び方
使用目的の違い
街乗りマウンテンバイク
街乗りマウンテンバイクは、日常の移動手段として通勤通学から週末の里山トレイルライドまで楽しめる乗り物です。
基本、オフロードと言われる未舗装路を走行することを想定されて作られています。
また、サスペンションが付いているモデルもあり、グラベルロードよりも過酷なフィールドや悪路を走行できるような工夫がされています。
スポーツバイクの中でも、タイヤが太く安定性に優れています。長い距離を走るのには向いていません。
グラベルロード
グラベルロードは、日常の移動手段として通勤通学から週末のサイクリングまたは距離100km以上の長い距離でも快適に走ることができる乗り物です。
また、自転車に荷物を積んで移動できるように耐久性と安定性も高くなっています。
走行できるフィールドは、舗装路だけでなく砂利道やトレイルと言った未舗装路も走行できるように想定されて作られています。
ハンドル形状の違い
マウンテンバイク
マウンテンバイクのハンドル形状は、フラットハンドルまたはフラットバーと言われる水平タイプになっています。
クロスバイクのハンドル幅が450mm〜500mmに対して、マウンテンバイクの場合は560mm〜800mmと広くなっています。
これは悪路をバランス良く走るのに、肩幅以上に腕・脇の可動域を広く取り安定するように図っています。
街乗りの際は、そこまでハンドル幅の広いものを選ばなくても問題ありません。
グラベルロード
グラベルロードのハンドル形状は、スポーツバイク特有のドロップハンドルというアーチ状タイプになっています。
ドロップハンドルの大きな特徴は、前傾姿勢になることで空気抵抗が減り長時間の走行でも疲れづらくなります。
また、ドロップハンドルで下ハン部分が横に広がっているフレアハンドルというタイプもあります。
フレアハンドルの場合、フロントに荷物を車載する際にハンドルが横に広がっていることで干渉しない形状になっています。
この前傾姿勢に慣れない人や長い距離を走らない人は、グラベルロードでもフラットハンドルにして乗る人もいます。
走行時の巡行速度の維持や安定して長い距離を走りたい人はドロップハンドルがおすすめですが、完成車の多くはドロップハンドルになっているので、お店で交換してもらうか自分で交換するしかありません。
フレーム形状の違い
マウンテンバイク
マウンテンバイクのフレーム形状は、マウンテンバイクのカテゴリーによっても大きく変わってきます。
ロードバイクやグラベルロードと比較すると、空気抵抗を考えて前傾姿勢になるようなジオメトリーではなく、マウンテンバイクの場合は、アップポジションになるよう悪路をいかにバランス良く走行できるか考えられたジオメトリーになっています。
グラベルロード
グラベルロードのフレーム形状の多くは、ロードバイクよりもリラックスできるポジションになるように背の高いヘッドチューブを採用しています。
ヘッドチューブが高くなることで、ロードバイクのような前傾姿勢になるのではなく体の状態が起き上がり高くなります。姿勢が高くなることで荒れた路面でのハンドル操作の自由度が高くなります。
また、ロードバイクのようにオンロードのみの走行を考えたジオメトリーではなく、グラベルロードはオンロードもオフロードも安定性と快適性を考えた形状になっています。
乗車姿勢の違い
マウンテンバイク
街中を走る際のマウンテンバイクの乗車姿勢は、状態が起き上がるようになっています。
状態が起き上がることで、前方の視界が広く取れることので初心者でも安全性に走ることができます。
ロードバイクのように前傾姿勢になり空気抵抗を軽減させながら速度を出して前に出て走る目的では作られていません。
街中を走る際には信号も多いので、ストップアンドゴーが多い首都圏では乗車姿勢が高いほうが比較的楽に走ることができます。
また、ダウンヒルや勾配のきつい下りの際は、サドルには座らずに体を後方に下げながら下ることもあります。マウンテンバイクの場合、走るフィールドによって乗車姿勢が大きく変わってきます。
グラベルロード
グラベルロードの乗車姿勢は、前傾姿勢(※ドロップ系形状のハンドルの場合)になるようになっています。
長い距離も走れるように、少しでも姿勢を低くすることで風の抵抗を軽減させ疲れづらいようになっています。
また、ロードバイクのようにグラベルロードも速度を出して前に出て走る目的では作られていません。(※メーカーによっては、グラベルレース目的の速度を出せるエアロ形状のグラベルロードも登場しています)
疲れづらくなることで、長い距離でも安定して走ることができるようになっています。
パーツ構成の違い
マウンテンバイク
パーツの総称をコンポーネント(コンポーネンツ)と呼びます。
マウンテンバイクのパーツは、マウンテンバイク専用のパーツで組むことが多いです。
マウンテンバイクのパーツの種類は多く、自分の使用用途や走る場所によって大きく変わってきます。
特徴としては、マウンテンバイクのスプロケットは急激な坂道でも登れるように、スプロケットの歯の数が幅広く設定されています。
グラベルロード
コンポーネントについては、シマノ、スラム、カンパニューロの3大メーカーからグラベルロード専用設計のパーツが登場しています。
日本メーカーからは2019年にSHIMANO(シマノ)からGRX(ジーアールエックス)と呼ばれるグラベルロード専用設計のパーツが登場しています。
SHIMANO GRXはグラベルライドに最適化された操作性、ギア構成、堅牢な構造、そして静かで信頼感のあるドライブトレインによってグラベル専用コンポーネントという独自のブランド価値を構築しています。
それはロード用コンポーネントの単なる流用ではなく、ライダーをグラベルライドへ駆り立てられるものとしてゼロから設計したものです。
SHIMANO GRXでは荒れた山道やロングライドへの挑戦に戸惑うことはもうありません。 Explore Beyond、あなたの未知への探求心を刺激します。
グラベルロード専用コンポの特徴は、特に荒れた道でもチーェン暴れを制御できたり、荒れた道でもハンドル操作がしやすかつまたり、耐久性の高いパーツが使用されています。
ギア比も今まで痒いところに届かなかった、細かな変速ができるように各社で工夫がされています。
タイヤ幅の違い
マウンテンバイク
マウンテンバイクのタイヤは太く、ホイールと同様に3種類のサイズ:29インチ、27.5インチ (650b)、26 インチがあります。
マウンテンバイクのトレンドの移り変わりは激しく、時代によって人気のタイヤサイズとホイールサイズがあります。
タイヤの特徴は、オフロードと言われる岩場や木の根っこがでているような悪路を走ることを想定されています。
そのため、タイヤの接地面や側面にブロックが配置されおり、滑りにくく泥や砂利が詰まりにくい溝のパターンになっています。
また、チューブレスタイヤが主流で、チューブは入れずにパンクをしても即座に穴を塞いでくれるシーラント液を挿れていることが多いです。
街乗りマウンテンバイクの場合は、パンク交換しやすいようにタイヤにチューブを入れている場合が多いです。
グラベルロード
グラベルロードでは、使用しているフレームのクリアランスによって装着できるタイヤ幅に大きな差がでます。
ロードバイクのような細いタイヤ25Cからマウンテンバイクのような50Cまで装着できるフレームもあります。
ご自身がどんな場面でどんな使用をするのかによって、フィールドに合わせてタイヤ幅を選ぶことができます。
舗装路だけでなく、未舗装路を走ることも想定されているので両方のフィールドに対応できるよう溝のあるタイヤを選びます。
価格の違い
マウンテンバイク
街乗りマウンテンバイクの価格帯は、大手自転車メーカーでも10万円を切ってくるモデルが多いです。
本格的なトレイルやダウンヒルを走るには、パーツグレードが低く事故にもなり兼ねないので大変、危険なのでおすすめはできません。
本格的な山で遊びたいと思っている方は、20万円〜30万円のグレードのマウンテンバイクを選ぶようにしましょう。
街乗りや週末ちょっとした里山ライドなど、近場のサイクリングを楽しむ分には、10万円以下のマウンテンバイクでも充分に楽しめます。
グラベルロード
グラベルロードの価格帯は15万円〜20万円前後でしたが、最近では世界的なグラベルバイクブームとコロナによる自転車需要の増加によりパーツの高騰が影響しています。
ロードバイクの平均的な価格帯と変わらないくらいになってきており、今では15万円〜30万円前後のモデルが多いです。
軽量モデルやエアロ形状なものなど、開発費が掛かっているグラベルロードも市場に出始めた影響も考えられます。
車体重量
マウンテンバイク
マウンテンバイクの重量は、使用されているフレーム素材、パーツのグレードによっても変わってきます。
10万円以下で街乗りマウンテンバイクの場合、重量は15kg前後になってきます。
軽量モデルを選べば購入時の金額も高額になってきます。
グラベルロード
グラベルロードの重量は、使用されているフレーム素材、パーツのグレードによっても変わってきます。
特に車体に荷物を載せれるように強度と耐久性が高くなっているので、平均して重量12kg〜13kgくらいのモデルが多いですが、最近ではバイクパッキングはせずにグラベルレースや速度を競って走れる軽量モデルも多く、ロードバイクと変わらない10kg以下の重量のバイクも登場しています。
巡行速度の違い
マウンテンバイク
マウンテンバイクの巡行速度は、使用しているフレーム素材・形状、パーツグレード、ホイール、タイヤの幅、己の筋力と心肺の強さによって変わってきます。
マウンテンバイクの場合、平地での巡行速度を競う目的では作られていない為、いかに悪路を安全に安定して走れるか設計されています。
しかし、長い距離でなかれば平地巡行速度30kmキープできる強者もいます。
グラベルバイク
グラベルロードの巡行速度は、使用しているフレーム素材・形状、パーツグレード、ホイール、タイヤ幅、己の筋力と心肺の強さによって変わってきます。
とは言え、ロードバイクのような細めのタイヤも装着できるグラベルロードの場合、細めのタイヤを装着させてドロップハンドルで乗車姿勢も前傾で平地を走った場合、30km前後で巡行速度キープできると言われています。
※個人差や路面状態によって変わってきます。
遊び方の違い
マウンテンバイク
マウンテンバイクの遊び方は、マウンテンバイク専用のパークまたは走行可能な山の中で遊ぶのが基本となっています。
グラベルロードよりも激しく険しいコース・フィールドを上ったり下ったりしても耐えられるよう頑丈に作られています。
また、マウンテンバイクの規格の技術の進化のスピードは速く、ロードバイクやグラベルロードよりも進んでいます。
その理由の1つに、世界ではクロスバイクやロードバイクよりもマウンテンバイクの人気が高いです。住んでいるフィールドが違うのも大きく影響しています。
サスペンションの技術は、ロードバイク、グラベルロードには基本的にはなく、マウンテンバイク独自の機構だと言えます。
グラベルバイク
グラベルロードの遊び方は、オンロードもライトなオフロードも楽しめるところです。
ロードバイク並みに舗装路を走ることができ、ロードバイクやクロスバイクでは走れないような砂利道やトレイルを走ることができます。
マウンテンバイクほどではないですが、ライトなオフロードを走れる魅力があります。
また、荷物が積めるよう専用のダボ穴が空いており、国内では自転車キャンプが流行り始めています。ダボ穴などはマウンテンバイクにはないグラベルロードの特徴です。
最近、海外ではグラベルレースが人気のため、ロードバイクに近いエアロ形状で軽量なグラベルロードも出始めています。
また、マウンテンバイクの機構を取り入れたサスペンション付きのグラベルロードが登場して話題になりました。
まとめ
いかがだったでしょうか!
街乗りマウンテンバイクがあれば通勤通学から週末サイクリングに里山ライドが楽しめます。
タイヤが太いので段差や道路の脇に散らばっているゴミがあっても、パンクリスクやスリップリスクの心配が少なくなります。
また、グラベルロードよりもタフに遊べてフィールド問わず走れるのも魅力の1つではないでしょうか。