2024年9月28日から29日にかけて、長野県白馬村で開催された「iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024」は、地元と参加者を繋ぐ素晴らしいイベントとなりました。
このイベントは、地元の「iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024実行委員会」の10人のメンバーが中心となり、約4カ月の準備期間を経て実施されました。
参加者は、多彩なコンテンツを楽しみながら、白馬の美しい自然を満喫しました。
2日間にわたるイベントは、参加者から非常に高い評価を受けました。iRCの田中さんは、「こんなに褒めてもらえるイベントはあまり経験がない」と語り、地元の協力が成功の大きな要因であることを強調しました。
また、フェスのような独特の世界観が参加者に好評で、今回の取り組みによってグラベルバイクを知らない方々にも、その魅力を感じ取ってもらえたと話してくれました。初心者から自転車愛好者まで、幅広い層が楽しめる内容になったのではないかと感じています。
田中さんに今回のイベントを振り返っていただきましたが、その中で得た多くの学びや今後の展望についてもお話ししていただきました。
【公式】iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024
【GRAVEL ROAD HACK】iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024動画
イベントを通しての感想と今後の展望
今回のイベントを通じて、私たちは自転車関連のイベントに参加したり主催したりしていますが、これほどまでに褒めていただけるイベントはあまり経験がありませんでした。
私自身、ロードバイクに乗ったりシクロクロスを少しかじったりしてきましたが、最近、始めたばかりのグラベルバイクの魅力に気づかされました。 グラベルバイクの楽しさは、短い距離でも感じられる満足感にあります。
例えば、ロードバイクの場合は60kmや70km走らないと不完全燃焼な気がしますが、グラベルバイクでは30kmほどの距離でも十分に楽しむことができるのです。これが、グラベルバイクの大きな魅力の一つだと感じています。
今回のイベントでは、距離だけでなく、コース内容や多彩なコンテンツが参加者の満足感を体現していると感じました。
特に嬉しかったのは、多少の砂利道や未舗装路を走ることに不安を感じていた初心者や幼いお子さんが、初めてグラベルバイクに挑戦して「面白い」と言ってくれたことです。このような体験ができたことは、私たちのイベントが目指す「誰でも楽しめる」環境を実現できた証だと思います。
また、驚く方もいるかもしれませんが、ロードレースで活躍しているプロ選手も「面白い」「自転車の楽しさを思い出す」と言ってくれたことが、一度体験することの大切さを改めて感じさせてくれました。彼らの声は、私たちの取り組みが幅広い層に支持されていることを示しています。
さらに、会場に戻ってからの交流の場が作れたことも大きな成果です。参加者同士が走った経験を共有し、共感できる場が生まれたことで、より一層のつながりが生まれたと感じています。このようなコミュニケーションが、今後のイベントへの期待感を高め、参加者のリピート参加を促す要素になることを願っています。
地域と共に創るイベント運営
グラベルミーティング開催前の心情
運営元が異なるニセコでのグラベルイベントが行われ、その翌週に私たちが企画するグラベルミーティングが開催されることになりました。
そのため、一般の方々の中には「果たしてグラベルミーティングをやる意味があるのか」といった声が上がっているのを耳にしました。正直、少し悔しい気持ちもありましたが、私たちが目指しているターゲットやコンセプト、イベントの方向性が異なるため、開催前には理解してもらえないだろうと感じていました。
私たちのイベントを成功させるには、ある意味で国内のあらゆるグラベルイベントを越える必要があるという強い意識を持って取り組みました。
今回の第1回目のスタートとなりますが、実際に企画を進める中で、お手製感もあり、私自身も「果たしてうまくいくのだろうか」とハラハラしていました。それでも、私たちの独自の魅力を伝えるために全力を尽くす決意を固めました。
地元と共に作り上げたグラベルミーティングの舞台裏
地元の皆様の協力や理解がなければ、今回の開催は難しかったと思います。
委員会が立ち上がると、地元の方々からはヨガを取り入れたり、豚の丸焼きやTシャツにロゴを入れるシルクスクリーンプリント、さらには超高級ソファの設置など、ユニークなアイデアがたくさん提案されました。 地元の人たちと一体感を持った多彩なコンテンツ作りが実現しました。
例えば、約10年前から海外のグラベルイベントでは、何もない道にソファを置いて記念撮影をするという遊びが流行しました。このスタイルは日本でも、ニセコグラベルのイベントで早くも取り入れられるようになっています。
ただの模倣にとどまらず、イベントに付加価値を与えるために、弊社のグループ会社である株式会社イノアックコーポレーションも関わっています。
グループ会社の製品には、50万円ほどの高級ソファもあります。「これを置いたら面白いのではないか?」「写真を撮りたくなるだろう!」と次々にアイデアが浮かび、イベントの魅力をさらに引き立てることができました。
なぜ長野県白馬村がイベント開催地に選ばれたのか?
比べるわけではありませんが、国内で大きなグラベルイベントが北海道で開催される中で、やはり北海道に行くのはハードルが高いと感じる方も多いと思います。そこで、本州内で初心者が気軽に参加できるイベントがあればいいなと思っていました。
私たちのグループ会社である株式会社イノアックコーポレーションは、白馬村に事務所を構えています。弊社はこれまでにも、白馬村でのMTBイベントに協賛するなど、白馬村との関係性を築いてまいりました。そのため、今回のイベントも白馬村で開催することに決めました。開催場所を決定した後、白馬村の方々に相談した際には、「既に自転車のイベントがたくさんある」と言われましたが、私たちの強い意志と情熱により、このプロジェクトを始めました。
そこで、私たちの思いと共に、会社としても白馬村の方々と企画のスタート時から一緒に相談し、運営を進めてまいりました。その結果、2日間のイベントを実施することができました。白馬村の方々も「こういうことをやったら付加価値が生まれる」と大いに盛り上がり、その意見を取り入れたことで、多彩なコンテンツが誕生しました。
日本のグラベルシーンの未来
私自身、日本のグラベルシーンについては、アンバウンド・グラベルのようにはならないと考えています。環境が全く異なるからです。ただ、マウンテンバイクが衰退している現状の中で、グラベルイベントには発展の可能性があると強く感じています。業界全体としてグラベルを推進する流れがあるのは心強いですし、むしろ新しいカテゴリーとして、日本らしく発展していくのは本当に素晴らしいことだと思います。
さらなる発展を目指して
来年の開催日は、2025年9月27日・28日を予定しています。「シンプルに『一度、来てください』と伝えたいです。一度参加したら、また来たくなるイベントです」と自信を持って言いたいです。また、社長もこの土地が大好きですし、スタッフもやる気満々でノリノリです。
このイベントを通じて、自転車の楽しさを広め、参加者が笑顔になれる環境を作ることが私たちの目標です。これからも地元の方々と協力し、一体感のあるイベントを目指していきます。
地元の力で紡ぐ成功のストーリー
実行委員長の原さんは、イベントを開催するにあたり、地域に長く住んでいる方々との関わりが重要であるとお話しされました。イベントが特別なものではなく、日常の延長として地元の理解を得ることが必要不可欠だと強調しています。今回のイベントについても「地元が主体となってやらないと意味がない」と話してくださいました。
今回の役割について教えてください
普段は白馬マウンテンバイククラブを運営し、子どもたちと一緒に練習やイベントを行っています。地元のさまざまなクラブを通じてつながりを築いてきました。クラブの活動を通じて、地元の飲食ブースや他のイベントとも連携しています。
また、私は宿を経営しているため、会社員の方よりも自由に動ける立場にあります。
そのため、地元の方々からの提案を受けて、今回のイベントの委員長を務めることになりました。
イベントの主催について詳しく教えてください
しかし、白馬村全体でも年間で様々なイベントが開催される為、地元の為にならないイベントならやらなくてもいいとも考えていました。
そこで、田中さんから「10年は続けるイベントにしたい」という思いを持ち、地元が主体となってやらないと意味がないと感じ地域の人々と協力してイベントを成功させることを目指しました。
イベント準備の具体的な取り組みについて教えてください
今回のイベントでは、会場準備や柵、バナー、ステージ、MC、音響、ブースなど、全て白馬のスタッフが担当しています。
特に田中さんは上司やお客様からの期待を背負い、大変な思いをされたのではと思っています。イベント会社なら全てを任せられるかもしれませんが、私たちは1から10まで一緒に取り組みました。
田中さんの動きや会社としての白馬への理解が大きな助けとなったことは間違いありません。
白馬八方尾根スキースクール&スノーボードスクールが協力してくれた経緯について教えてください
2023年のUCIマウンテンバイクアジア選手権では、長野県から4名が日本代表に選出されたこともあり、自転車に興味を持って関わる人が増えています。
このような背景もあり、白馬八方尾根スキースクール&スノーボードスクールが協力してくれることになりました。
八方地域の方々の影響力は大きく、協力体制が整うことで、走行できる場所や許可を得られる環境が整ったことは大きな成果です。また、イベントに関わる方々が自転車について少しでも理解を深めることが、成功の鍵となります。
地域と共に盛り上げる自転車イベントの未来
今後、たとえ理解を得て許可を得たとしても、20台から30台の自転車が集団で走ってくれば、地域の方々は驚かれることでしょう。そのインパクトはこのイベント内で出すべきではなく、もっと大きな意味を持たせる必要があります。私自身、イベントの参加者数が200人から300人程度が限界であると感じています。
また、里山が限界集落になりつつある中、地域の方々とは普段から草刈りや溝の泥上げを行いながら、日々のコミュニケーションを大切にしています。この取り組みは、単なる作業以上の意味を持っています。 地域の方々からは、「イベントが特別なものではなく、日常の延長として、お前たちがイベントをやりたいなら通っていいよ」とおっしゃっていただける関係が大切です。
最終的には、人と人とのつながりが非常に重要であり、日頃の関係性や事前の準備が成功の鍵だと考えています。
イベント参加者の声
初めてのグラベル体験を通じて、川畑由衣さんが感じた興奮と喜びをお届けします!
めちゃくちゃ楽しかった!初めてのグラベルイベント
白馬グラベルミーティングには、いつもお世話になっている自転車屋さんがきっかけで参加しました。
初めてのグラベルイベントということで、距離やコース内容に少し不安がありましたが、実際に参加してみると、ずっと砂利道が続くのではなく舗装路と未舗装路をバランス良く走れるコースでした。適度に自分たちのペースで休憩を取りながら、各エイドステーションでは地元の食べ物やスイーツを楽しむことができて大変、満足でした。
今回は自転車屋さんからグラベルバイクを借りて参加しましたが、すごく楽しかったので、購入も検討しています。ロードバイクだとこんなにゆっくりおしゃべりしながら走れないので、今回のイベントを通じて新たにスポーツ自転車の魅力を知ることができました。
お母さんと共に自転車遊びの楽しさを再発見
自転車の風を感じながら遊ぶのが大好きな小学2年生の都楽(とら)君。今日はお母さんと一緒にイベントに参加して、その素敵な体験を語っていただきました。
今年の夏には、お母さんと一緒に自転車で海を目指して40kmほど走りましたが、今回のイベントの距離が短かったにもかかわらず、砂利道を走ったので、すごく疲れました(笑顔)「会場に戻ってきて食べた豚肉は、タレも美味しくて最高でした!」
友達にもこの楽しさを伝えたいです!
経験しないとわからない!新しい体験をぜひ
山口 卓さんは、一般社団法人日本サイクリングガイド協会公認のサイクリングガイドとして、多くの初心者サイクリストを支えてきました。今回のイベントでも、初めてグラベルを体験する参加者が安心して楽しめるよう、様々なアドバイスとサポートを提供しています。彼が語る、初心者がイベントを安全に楽しむためのポイントやグラベルの魅力について語っていただきました。
舗装路と異なり、砂利道や泥道ではペース配分や休憩回数に気を配りました。
参加者の約9割が初心者で、砂利道体験も初めての方がほとんどでした。そのため、減速のポイントを特に重視しました。特に降りのブレーキ操作は重要で、握力がなくなってブレーキ操作ができなくなると危険です。リムブレーキとディスクブレーキでも違いがあるため、走る前にレクチャーを行い、ゆっくり走ることを前提に指導しました。また、自転車を降りて歩くことも前提として、危険だと思ったら降りるよう伝えています。
そこで、各休憩時間を短めに設定して、休憩回数を多めに取りました。私たち経験者の常識は、一般参加者には非常識に感じられることも多いため、自己満足なガイドではなく、参加者に寄り添った対応が必要です。安全に完走するためには、参加者の気持ちに寄り添うことが大切です。
今回のコースについてですが、正直なところ、初めてスポーツ自転車に乗る方には少し難しいかもしれません。一度サイクリングを経験したことがある方には、とても楽しんでいただける内容だと思いました。また、今回のイベントの良い点は、完走後に交流できる場が設けられていることです。同じ体験を共有する場があるのは最高です。
私は、オフロードイベントは野外フェスの延長のような遊びだと考えています。皆で笑顔になり、共通の体験を語り合えることがとても素晴らしいと思います。ロードバイクとも違い、マウンテンバイクとも違う、新しいジャンルであるグラベルの魅力を多くの人に感じてもらいたいです。
新たなサイクリングの世界!ロードレースとは違う楽しさ
普段はロードレースの世界で活躍するKINAN Racing Team所属の白川幸希選手。トップ選手である白川選手が初めて体験した未舗装路の魅力について語っていただきました。
普段は走らない砂利道を軽快に走り抜ける中で、改めて「自転車の楽しさ」を実感しました。自然の中で道路に縛られず自由に走る感覚は、格別でした。完走後、その楽しさが忘れられず、思わずもう一度グラベルを楽しんでしまいました。
ロードレースの会場とは異なる雰囲気の中、緑に囲まれた会場では、自転車に乗る人々のスタイルやジャンルもさまざまでした。まるでキャンプやアウトドアの延長のような新鮮さがありました。
現在、グラベルレースは世界的に流行しています。どこで速く強くなるヒントが見つかるかわからないので、遊びだけでは終わらせず、今回の経験を一つのトレーニングメニューとして取り入れたいと思いました。
地元のお店や支援者の皆様からのコメント
自家焙煎 山笑う珈琲
白馬村で自家焙煎の珈琲豆を販売している「山笑う珈琲」の店主、田村さん。店名の「山笑う」は俳句の春を表す季語で、明るく芽吹く山の様子をイメージしています。イベント時には特別にコーヒーや地元のリンゴジュースを提供しており、走行前のモーニングにコーヒーを楽しむ参加者も多く見受けられました。
白馬農場株式会社/株式会社白馬そだち
エイドステーションでは、白馬農場株式会社および株式会社白馬そだちさんが、印象的な真っ青なチョコレート味のジェラート「ハクバブルー」を参加者に提供してくれました。この独特の色合いは、バタフライピーというお花を使用して実現されています。 店舗の「白馬農場 ジェラテリア」では、採れたての野菜とフルーツを使った濃厚なジェラートが楽しめ、季節ごとにフレーバーが変わるため、訪れるたびに新しい味に出会えるのも大きな魅力だそうです。
また、通常「農かふぇ白馬農場」では苺のスムージーを提供していますが、今回は会場限定で特別に、ブルーベリー、バナナ、ケール、牛乳、ヨーグルトを使用したスムージーも味わうことができました。
株式会社イノアックコーポレーション
株式会社イノアックコーポレーションは、1926年に設立された日本の企業で、愛知県名古屋市に本社を構えています。主にゴム製品やプラスチック製品の製造・販売を行い、自動車部品、産業機器、建材、家庭用品など、多岐にわたる製品を提供しています。 白馬事務所の所長、煙山貴紀さんは、今回のイベントを通じて新たな可能性を感じたと語ってくださいました。
自転車イベントでの自社製品であるソファの導入と今後の期待
このイベントを通じて、異なる部門同士が協力できる可能性を感じることができました。第一回目のイベントではありますが、自社の製品を紹介する貴重な機会となったと強く感じています。
参加者の皆さんがソファに座っている写真を送ってくださるのですが、みんなの笑顔が何より嬉しいです。このような期待感を抱く中で、私たち自身も来年はもっと面白いことを実現しようという意欲が湧いてきました。
来年は、参加者の皆さんにさらに喜んでいただけるようなイベントを目指していきたいと思っています。
楓企画
楓企画の代表、雨宮さんは、乗馬体験を通じて人と馬の絆を深める活動に取り組んでいます。今回のイベントでは、人と馬、そして自転車の新たな可能性についてお話しいただきました。
普段のイベントでは子供たちに乗っていただく事が多いのですが、今回は大人の方たちのご利用される機会多くたいへん新鮮でした。 普段は自転車に乗っている人たちが、自身の自転車と生き物である馬を乗り比べる姿は、私にとっても新しい体験で面白かったです。自分の意思を伝えて乗る馬との違いを感じていただけたのではないかと思います。
今回のグラベルイベントを通じて、自転車と馬がシェアできる環境作りの可能性を感じています。馬も軽車両の一種であり、昔は山の中に入り、丸太を引き(馬搬)人が通る道を作ることもありました。※現在白馬村周辺で楓も馬搬を行っています。馬が歩きやすい道は、人も自転車も安全で安心な通りやすい道ですので、ぜひ一緒にシェアしていければと思っています。
白馬駅前「藤屋食堂」×「iRC TIRE」店舗をジャック
「iRC TIRE 白馬グラベルミーティング2024」では、白馬駅前にある藤屋食堂でグラベルの本場、アンバウンドグラベルをテーマにしたプロモーションを実施しました。お店はiRC TIREのカラーで一色に染まり、イベント期間限定で店舗をジャックしました。また、お店が2階にあることから、BOKEN DOUBLECROSS階段も誕生しました。
記事の執筆者
会社概要
- 社名:井上ゴム工業株式会社
- 創立:1926年(大正15年)
- 本 社:〒450-0003 名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
- 公式サイト:https://www.irc-tire.com
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